2016年10月17日
増加する「障害者雇用」の現状と今後の課題
◆増える障害者雇用
国による障害者雇用対策が講じられている中で、障害者の就職件数は年々増加しています。
厚生労働省の「平成27年度 障害者の職業紹介状況等」の調査でも、ハローワークを通じた障害者の就職件数は平成26年度の84,602件から大きく伸びて90,191件(対前年度比6.6%増)となり、7年連続で増加したと公表されています。
特に、最近は精神障害者の就職件数が大幅に増加しているようです。
◆法定雇用率達成の企業はまだ少ない
一方、エン・ジャパン株式会社が実施した「障がい者雇用」についてのアンケート調査(回答233社)によると、従業員数50名以上の企業で法定雇用率(2.0%)を「達成している」と回答したのは約31%だったそうです。
その他は、「雇用しているが雇用率は未達成」が31%、「50名以上の企業だが雇用していない」が38%となり、法定雇用率を達成している企業が大半を占めるとは言えない状況です。
平成27年の厚生労働省の調査でも、法定雇用率達成企業の割合は 47.2%と公表されており、その割合は増加しているものの、障害者の雇用が十分に進んでいるとは言えない状況です。
◆仕事内容や環境面の整備に課題を持つ企業が多い
上記のエン・ジャパン社のアンケート調査では、実際に雇用している職種や分野について尋ねたところ、「事務」(54%)および「軽作業」(37%)との回答が多くなっています。
また、雇用上の課題や懸念点として、「適した仕事があるか」「法定雇用率の達成」「「設備・施設・機器など安全面の配慮」「周囲の社員の、障害への理解」などが挙げられており、仕事の内容や職場の環境面の整備に課題感を持つ企業が多いことがわかります。
◆採用後の体制まで含めた対応が必要に
最近は障害者へのパワハラ事案について報道されることも多く、職場内の障害者へのハラスメント、嫌がらせについて問題になっています。
企業側の雇用動機は様々ですが、今後、障害者雇用を推し進めていくうえでは、採用後の社内体制まで含めて障害者雇用に対する考え方を変化させていく必要がありそうです。
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