株式の発行会社が実施する自己株式の取得に応じた場合、みなし配当が生じると聞きましたが、みなし配当とは何でしょうか。また、具体的にはどのような計算をするのでしょうか。
みなし配当とは、会社法上は剰余金の配当とされないものでも、実質が剰余金の配当と変わらないものをいいます。
みなし配当が生じるのは、自己株式取得に応じた場合以外にも、金銭等の資産の交付を受けた場合で、合併、分割型分割、資本の払い戻し・解散による残余財産の分配、組織変更等があります。
みなし配当の具体的な計算方法は、それらの区分ごとに細かく規定がありますが、基本的には、交付を受けた金銭等の価額からその株式等に対応する資本金等の額を差し引いた部分がみなし配当となります。
自己株式取得に応じた場合の例を2パターン記載します。
取引を資本金等の額で譲渡した取引と、配当取引とに分解して考えると分かりやすいと思います。
例1
取得価額100円の株式を500円で発行会社に譲渡
当該株式に対応する資本金等の額 100円
みなし配当の金額・・・500-100=400
仕訳
(借) 現金 100 / (貸) 株式 100
(借) 現金 400 / (貸) 受取配当金 400
例2
取得価額200円の株式を500円で発行会社に譲渡
当該株式に対応する資本金等の額 100円
みなし配当の金額・・・500-100=400
譲渡損(資本金等の額で譲渡したことになる)100-200=△100
仕訳
(借) 現金 100 / (貸) 株式 200
株式譲渡損 100
(借) 現金 400 / (貸) 受取配当金 400
なお、資本金等は、税務上の資本金等を用いるため、必ずしも会計上の資本金+資本剰余金とはならない点に注意が必要です。