農地法の許可を受けていない農地を譲渡した場合の取り扱いについて教えて下さい。
農地法においては、農業委員会の許可を受けていないものに関する取引は無効とされております。
そのため、原則として、当該農地の譲渡にかかる所得の帰属は、農地の所有名義人に帰属するものと考えられます。
一方、法人税法では、資産又は事業から生ずる収益が法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、実際には収益を享受しない場合には、その名義人以外の法人が収益を実際に享受するときにはその収益は法人に帰属するものとして実質所得に対して課税するという実質所得者課税の原則が規定されています(法11)。そのため、経済的実質とがかけ離れている場合には、その経済実態に基づいて判断するということと解されています。当該農地の取得、所有状況等により実質的に法人が取得したものであるとの事実認定がなされた場合には、その譲渡に係る譲渡損益は法人に帰属する可能性もありますので慎重な判断が必要となります。
参考:農地法
(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
第三条
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。
一 第四十六条第一項又は第四十七条の規定によつて所有権が移転される場合
省略
4 農業委員会は、前項の規定により第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、その旨を市町村長に通知するものとする。この場合において、当該通知を受けた市町村長は、市町村の区域における農地又は採草放牧地の農業上の適正かつ総合的な利用を確保する見地から必要があると認めるときは、意見を述べることができる。
5 第一項の許可は、条件をつけてすることができる。
6 農業委員会は、第三項の規定により第一項の許可をする場合には、当該許可を受けて農地又は採草放牧地について使用貸借による権利又は賃借権の設定を受けた者が、農林水産省令で定めるところにより、毎年、その農地又は採草放牧地の利用の状況について、農業委員会に報告しなければならない旨の条件を付けるものとする。
7 第一項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。