『エスネットワークス人事労務通信2017年11月号』を掲載致しました。
来年1月から労働者の募集や求人申込みの制度が変わります!
◆3月に改正法が成立
平成29年3月31日に職業安定法の一部の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。職業安定法の改正については、平成29年4月1日、平成30年1月1日、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日の3段階で施行されます。
今回は、来年1月1日から施行される、労働者の募集や求人申込みの制度の主な変更点についてご紹介いたします。
◆労働条件の明示について
ハローワーク等へ求人申込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間、業務内容や契約期間、就業時間、賃金といった労働条件を明示することが必要ですが、今回の改正で、当初の労働条件に変更があった場合、その確定後、「可能な限り速やかに」、変更内容について明示しなければならなくなりました。
面接等の過程で労働条件に変更があった場合は、速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要になります。
◆最低限明示しなければならない労働条件等
労働者の募集や求人申込みの際には、書面の交付によって明示しなければならない労働条件が定められていますが、今回の改正で、「試用期間」、「裁量労働制(採用している場合)」、「固定残業代(採用している場合)」、「募集者の氏名または名称」、「雇用形態(派遣労働者として雇用する場合」)の明示が追加事項とされました。
◆変更明示の方法
以下のような場合には、変更の明示が必要となりました。
(1)「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合
例)当初:基本給30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月
(2)「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合
例)当初:基本給25万円~30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月
(3)「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合
例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月 ⇒ 基本給25万円/月
(4)「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合
例)当初:基本給25万円/月 ⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月
なお、変更内容の明示については、「変更前と変更後の内容が対照できる書面を交付する」、「労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したり脚注を付けたりする」など、求職者が変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があります。
企業の「受動喫煙防止」に関する取組みの状況
◆5割以上が「完全分煙」
国の取組みとして受動喫煙防止対策が叫ばれる中、事業所を全面禁煙としたり、分煙対策を講じたりしている企業も多くなってきました。
帝国データバンクが実施した「企業における喫煙などに関する意識調査」(調査対象:2 万3,341 社、有効回答企業1 万212 社、回答率43.8%)でも、自社の主要事業所内の喫煙状況について、「完全分煙」(適切な換気がされている喫煙場所がある、または屋外に喫煙場所を設けている)とした企業が56.2%と最も多くなっていました。
また、社内での喫煙を全面的に不可とする「全面禁煙」が22.1%となっており、以下、「不完全分煙」(10.0%)、「特に喫煙制限が設けていない」(7.3%)、「時間制分煙」(3.4%)と続いています。
◆業界・地域別の差が大きい
取組みには、業界別・地域別で差が見られるようです。
全面禁煙割合について、業界別では「不動産」(44.1%)が4割超と最高となっており、「金融」(38.2%)、「サービス」(33.2%)と続いています。低いほうでは、「農・林・水産」(11.3%)、「製造」(11.7%)、「運輸・倉庫」(14.0%)、「建設」(18.3%)となっており、業界別の違いが大きい結果となっています。
また、地域別では、その他の地域がいずれも15~19%となっている中、「南関東」が28.9%、「近畿」が23.6%と、大都市圏での割合が高い傾向となっています。
◆法令等による全面禁煙化の影響は?
現在、東京オリンピックの開催等も控えている中、厚生労働省や地方自治体の施策としても、公共施設での全面禁煙化の動きが始まっています。
今後、法令等により全面禁煙が実施された場合、自社にどのような影響あると予想されるかについて、「影響はない」とした回答が約7割と最も高くなっています。
「プラスの影響がある」(8.0%)、「マイナスの影響がある」(7.9%)とした企業を業種別に見ると、「プラスの影響がある」では「教育サービス」(22.7%)が最も高く、「マイナスの影響がある」では「飲食店」(47.6%)が半数近くを占めました。
◆今後も進むことが予想される禁煙化の動き
喫煙率を下げるための国を挙げた取組みは今後も続いていきそうですが、企業でも、業種による違いはありそうですが、その影響は少なからず受けていくことが予想されます。
引き続き国や地方自治体における規制強化の動きを注視していきたいところです。
その他の記事PDFはこちら