2024年04月25日
4月からの求人票記載に関するポイント
◆明示する労働条件が追加
4月1日からの改正で、ハローワークの求人票に記載する労働条件に、「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」の3つが追加されています。具体的な記載のしかたを紹介します。
◆従事すべき業務の変更の範囲
採用後、業務内容の変更予定がない場合は、「仕事の内容」欄に「変更範囲:変更なし」と明示します。異なる業務に配置する見込みがある場合は、同欄に変更後の業務を明示します。
◆就業場所の変更の範囲
異なる就業場所に配置する見込みがある場合は、「転勤の可能性」欄で「1.あり」を丸で囲み、転勤範囲を明示します。
◆有期労働契約を更新する場合の基準
原則として更新する場合は、「契約更新の可能性」欄で「1.あり」を丸で囲み、「原則更新」を選択してマルで囲みます。通算契約期間または更新回数に上限がある場合は、「求人に関する特記事項」欄に「更新上限:有(通算契約期間○年/更新回数○回)」と明示します。
更新の可能性はあるもののそれが確実ではない場合は、同欄で「1.あり」を丸で囲み、「条件付きで更新あり」を選択してマルで囲みます。そして、「契約更新の条件」欄に具体的な更新条件を記載します。通算契約期間または更新回数に上限がある場合は、「契約更新の条件」欄にその旨を記載します。
◆記載欄に書き切れない場合
上記の労働条件について指定された記載欄に書き切れない場合は、求人申込書の「求人に関する特記事項」欄に記載します。
【厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「事業主の皆さまへ 求人票に明示する労働条件が新たに3点追加されるのでご留意ください」】
「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」のポイント
先月の事務所便りでもご紹介した厚生労働省の「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」が策定・公表されました。本手引きに沿って、求職者等が求める情報と、企業が情報提供にあたって注意すべき点をみていきましょう。
◆求職者等が開示・提供を求める主な情報
(1) 企業等・業務に関する情報
・企業等の安定性 ・事業、業務内容 ・入社後のキャリアパス 等
(2) 職場環境に関する情報
・在宅勤務、テレワークの可否 ・育児休業や短時間勤務等に関する制度
・職場の雰囲気や社風 ・社員の定着率 等
(3) 労働条件・勤務条件
・賃金(昇給等も含む) ・所定外労働時間(残業時間)、所定労働時間
・有給休暇取得率 ・副業、兼業の可否 ・転勤の有無 等
(4) その他
【転職者の場合】
・経験者採用割合 ・経験者採用の離職率 ・研修制度
・オンボーディング制度 等
【非正規雇用労働者の場合】
・就職後のキャリア形成
・正社員転換制度の有無および正社員転換実績 等
◆情報提供にあたってのポイント
・情報量が多くなりすぎないように注意する
・数値情報を提供する場合は、数値の定義を補足する
・更新時期や制度の利用実態などもあわせて正確な情報を提供する
・実績が低調であっても、改善に向けた取組みや今後の方針とあわせて情報提供する
◆「しょくばらぼ」の活用
中小企業においては、「若者雇用促進総合サイト」、「女性の活躍推進企業データベース」、「両立支援のひろば」に掲載されている企業等の情報を求職者等に総合的・横断的に提供するウェブサイト「しょくばらぼ」の活用を推進しています。幅広い情報提供が可能となるほか、ハローワークインターネットサービスと連携しているため、より少ない作業負担で求職者等に対する情報提供ができます。採用のミスマッチを防いで、労働者の離職率低下やエンゲージメントの向上に役立てましょう。
【厚生労働省「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」を策定しました】
不妊治療と仕事の両立についての調査結果(厚生労働省)から
◆晩婚化・晩産化による影響
人手不足が深刻化していく中、社員の離職はできるだけ避けたいものです。各社員の離職の理由は様々ですが、晩婚・晩産化の傾向も踏まえると、今後は不妊治療を理由とした離職も増えていくことが考えられます。
◆不妊治療と仕事の両立ができずに仕事を辞めた人は10.9%
厚生労働省では、令和5年度に委託事業「不妊治療を受けやすい休暇制度等環境整備事業」(委託先:有限責任監査法人トーマツ)の中で行った、企業および労働者に対する不妊治療と仕事の両立に関するアンケート調査の結果を公表しています。
同調査によれば、不妊治療をしたことがあるまたは近い将来予定していると答えた人の割合は14.5%、不妊治療をしたことがあると答えた人のうち、不妊治療と仕事の両立ができずに仕事を辞めた人は10.9%に上っています。
◆実態を把握していない企業が半数
同調査では、半数以上の企業が、不妊治療を行っている従業員の把握ができていないと答えています。不妊治療をしていることを職場で一切伝えていない人は多いため(同調査では47.1%)、企業としては不妊治療としていることを知らないまま、気づいた時には社員が離職を選んでいたということも少なくないと思われます。
◆企業ができる支援
では、企業としてはどのような支援ができるのでしょうか。同調査では、不妊治療と仕事の両立に関する従業員への普及啓発を実施していない企業は95.7%となっていますが、まずは社員への啓発活動の実施が考えられるところです。
また、不妊治療を行っている従業員が利用できる柔軟な働き方を可能とする制度として、「半日単位・時間単位の休暇制度」(82.9%)、「テレワーク(在宅勤務)」(52.0%)、「短時間勤務」(41.3%)などが続きますが、これらの制度は不妊治療に限らず両立支援のあらゆる場面で活用されるものです。仕事を続けやすい制度づくりは、今後より一層重要になるでしょう。
【厚生労働省「令和5年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」】
健康に配慮した飲酒に関するガイドラインが公表されました
◆飲酒に関するガイドラインとは
飲酒による身体等への影響には個人差があります。そのため、飲酒の際にはそれぞれの状況に応じた適切な飲酒量・飲酒行動を本人が判断し、不適切な飲酒によるリスクを抑えていかなければなりません。
そこで厚生労働省は、国内初となる「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を作成しました。基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質等による違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどをわかりやすく伝えるものです。そのうえで、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方、飲酒の際に留意してほしい事項(避けるべき飲酒等)を示すことで、飲酒や飲酒後の行動の判断等に資することを目指すとしています。
◆「純アルコール量」に着目
ガイドラインでは、適切な飲酒量を測る目安として「純アルコール量」に着目しています。「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)」で表すことができ、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できます。
例えば、ビール500ml(度数5%)の場合の純アルコール量は、「500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)」です。そのうえで、疾病別の発症リスクと飲酒量(純アルコール量)を示し、適切な飲酒量の参考とするよう呼び掛けています。
飲酒習慣のある方もない方も、自身や身近な人々の健康を守るために意識していきたいですね。
「過労死等の防止のための対策に関する大綱(素案)」が示されました
働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が建設業と運送業、医師の職種にも適用されることを受け、「過労死等の防止のための対策に関する大綱(素案)」が示されました。
◆過労死等の再発防止対策、フリーランスへの取組等を推進
① 令和6年4月に全面適用となった時間外労働の上限規制の遵守を徹底
② 繰り返し過労死等を発生させた企業に対し、労働局長から「過労死等の防止に向けた改善計画」の策定を求めるなど原因究明および再発防止の指導を強化
③ 勤務間インターバル制度の企業における取組みを波及させるため産業医に周知を図るとともに、同制度の導入の必要性を感じていない企業に対する周知を行う
④ フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行後は履行確保を行うとともに、個人事業者等自身による定期的な健康診断の受診等の健康管理及び個人事業者等が過度な長時間就業とならないよう、注文者等による期日設定等に関する配慮等の取組みを促進
◆労災事案分析、労働・社会分野の調査研究内容を充実
① 芸術・芸能分野を重点業種等に位置付け
② フリーランス、高年齢者、労働時間把握が自己申告制である労働者など、働き方や就労環境、属性等に焦点を当てた調査を実施
③ 過労死等の危険因子や疾患との関連の解明等の研究や、過労死等事案の分析から得られる成果および国内外の最新知見に基づき、事業場における過労死等防止対策を支援するツール開発と効果検証等を一体的に実施
④ 過労死等事案についてハラスメント防止措置状況を可能な範囲で分析
⑤ 調査研究の成果やその他の過労死等に関する国内外の最新情報について、専用ポータルサイトを通じて公表
◆実効ある対策に資する数値目標を追加設定
① 労働時間について重点業種等に着目した重点的な取組みを明記
② 勤務間インターバル制度について導入効果が高いと考えられる企業等に着目した数値目標を設定
③ 公務員についても目標の趣旨を踏まえ、各職種の勤務実態に応じた実効ある取組みを推進
長時間労働是正の一環として対策を進めましょう。
【厚生労働省「「過労死等の防止のための対策に関する大綱(素案)について」】
「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」(経済産業省)が公表されています
◆背景と概要
わが国においては、超高齢化が進行し、社会・経済の主たる担い手である生産年齢人口が減少しています。そうしたなか、仕事に就きながら家族の介護にも従事する、いわゆる「ビジネスケアラー」の問題が顕在化・深刻化しています。こうしたビジネスケアラーは2030年時点で約318万人となると予想されています。
従業員の仕事と介護の両立が困難になると、生産性の低下や介護離職につながります。こうした状況は、個々の企業にも打撃を与え、例えば中小企業においては1社あたり年間700万円以上の損失につながると試算されています。
以上の状況をうけ、経済産業省は「全ての企業の協力が必要」とし、3月26日、企業経営層を対象として、仕事と介護の両立支援の意義や進め方などをまとめたガイドラインを公表しました。
◆主なポイント
このガイドラインでは、各企業が法律により義務付けられた措置を講ずることを前提として、「全企業が取り組むべき事項としての『3つのステップ』」、「企業独自の取組の充実」、そして「外部との対話・接続を通じた両立支援の促進」を、「企業における介護両立支援の全体像」としてまとめています。
なかでも、「全企業が取り組むべき事項としての『3つのステップ』」としては、①「経営層のコミットメント」(経営者によるメッセージ発信や推進体制の整備など)、②「実態の把握と対応」(社内の状況把握や指標設定など)、そして③「情報発信」(従業員に向けた「プッシュ型」での情報提供や相談先の明示など)を挙げています。詳しくは下記ホームページをご覧ください。
【経済産業省「「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」を公表します」】
治療と仕事の両立支援の導入効果は?
治療と仕事の両立支援は、働き方改革や人材難への対応として注目されています。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、次のようなことが明らかになりました。
◆柔軟な働き方を支援するための制度の有無(複数回答)
柔軟な働き方支援制度についての導入状況は、次のようになっています。こうした制度を導入している企業では、制度を私傷病の治療や療養の目的として利用できるとする割合が高くなっています。
・「時間単位の休暇制度・半日休暇制度」 61.9%
・「退職者の再雇用制度」 42.3%
・「時差出勤制度」 40.4%
・「所定内労働時間を短縮する制度」 38.7%
・「在宅勤務(テレワーク)制度」 24.6%
・「フレックスタイム制度」 17.0% など
制度に関する自社の規程や運用ルールが適切なものとなっているか、確認しておきたいですね。
◆制度導入の効果
制度を導入した結果、平均でも6割近くの企業で、次のような効果があったと回答しています。
○制度利用に対して職場で協力する雰囲気ができた
○職場に多様性を受容する意識が浸透した
○社員全体の企業に対する信頼感が上昇した
○疾患を理由とする離職率が低下した
○日常的に事業継続体制が構築された
職場の雰囲気が良くなることは社員のエンゲージメントを高めるのに効果的でしょう。また、業務の見直しにもつながり、アクシデントや状況変化への対応力を高めることにも役立ちそうです。
◆GLTDの保険金負担状況
団体保険の一種で、病気やケガにより長期間に渡って就業が不能になったときの所得を補償する制度であるGLTD(団体長期障害所得補償保険)に加入している企業では、その保険料を全額会社負担している割合が61.3%となっています。
なお、傷病手当付加金がない企業では80.2%が、傷病手当付加金がある企業では38.6%が会社全額負担となっています。
【独立行政法人労働政策研究・研修機構「治療と仕事の両立に関する実態調査(企業調査)」】
食事の現物給与の価格が変更されました
◆現物給与とは?
給与は金銭で支給されるのが一般的ですが、住宅(社宅や寮など)の貸与、食事、自社製品、通勤定期券などで支給することがあります。この場合、現物給与といいます。
現物給与で支給するものがある場合は、その現物を通貨に換算し、金銭と合算して標準報酬月額の決定を行いますが、健康保険、船員保険、厚生年金保険および労働保険において現物給与の価額は厚生労働大臣が定めることとされています(「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」として告示)。
◆現物給与価額の改正内容
上記告示の内容が一部改正され、令和6年4月1日より、40都道府県において、食事の現物給与価額が変更になりました。前年よりも食事の額がアップしていますが、現物給与の価額をより現在の実態に即したものとするための改正であるとしています。
(一例)北海道
・1人1月当たりの食事の額:23,100円(令和5年は22,500円)
・1人1日当たりの食事の額:770円(令和5年は750円)
・1人1日当たりの朝食のみの額:190円(令和5年も同じ)
・1人1日当たりの昼食のみの額:270円(令和5年は260円)
・1人1日当たりの夕食のみの額:310円(令和5年は300円)
なお、「住宅で支払われる報酬等」に係る現物給与の価額については、改正はありません。
◆留意点
現物給与価額の改正は、固定的賃金の変動(昇給・降給や住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加や支給額の変更の場合)に該当します。よって、「被保険者報酬月額変更届」が必要になる場合がありますので注意が必要です。
また、今回改正された価額は、4月1日から適用されます。4月の給与の締日が月の途中である場合も、現物給与(食事、住宅等)については、給与の締日は考慮せず、4月分(1カ月分)の報酬として計算します。
その他、詳細は以下をご覧ください。
【日本年金機構「令和6年4月1日より現物給与価額(食事)が改正されます」】
在宅勤務手当を割増賃金の算定基礎から除外する場合について通達が出ました
◆割増賃金の基礎となる賃金
割増賃金は1時間当たりの賃金を基礎として、それに割増率を乗じることにより算定されますが、基礎となる賃金に算入しない賃金として、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金及び1か月を超える期間ごとに支払われる賃金が法律に定められています。
いわゆる在宅勤務手当については、一般的に、在宅勤務手当が労働基準法上の賃金に該当する場合には、割増賃金の基礎となる賃金に算入されます。
◆在宅勤務手当を割増賃金の基礎に算入しない場合
ただし、在宅勤務手当が事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されていると整理される場合には、当該在宅勤務手当は賃金に該当せず、割増賃金の基礎となる賃金への算入は要しません。
今回の通達によれば、在宅勤務手当が実費弁償として扱われるためには、当該在宅勤務手当は、労働者が実際に負担した費用のうち業務のために使用した金額を特定し、当該金額を精算するものであることが外形上明らかである必要があります。
◆実費弁償の計算方法
在宅勤務手当が実費弁償とされるために必要な計算方法としては、以下の3つの方法が示されています。
(1) 別添の国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」で示されている計算方法
(2) (1)の一部を簡略化した計算方法
(3) 実費の一部を補足するものとして支給する額の単価をあらかじめ定める方
法
在宅勤務手当を割増賃金の算定基礎から除外することは労働条件の不利益変更に当たりますので、法律にのっとって労使でよく話し合うようにしましょう。
【厚生労働省「割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取扱いについて(令和6年4月5日基発0405第6号)」】
「令和5年中小企業実態基本調査(速報)」が公表されました
中小企業庁は3月29日、「令和5年中小企業実態基本調査(令和4年度決算実績)」の速報を公表しました。この調査は中小企業の財務情報、経営情報などの把握を目的に、業種横断的な実態調査として毎年行っているもので、今回は20回目となります。「建設業」「製造業」「情報通信業」「運輸業、郵便業」「卸売業」「小売業」「不動産業、物品賃貸業」「学術研究、専門・技術サービス業」「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」「サービス業(他に分類されないもの)」の合計11産業の中小企業から調査対象約11万社を無作為に抽出して実施しています。今回の調査は、有効回答45,723社(有効回答率41.7%)を基に推計しています。
◆1企業当たりの売上高・経常利益・従業者数はいずれも増加
企業当たりの売上高は2.1億円(前年度比15.9%増)、経常利益は978万円(同12.4%増)、従業者数は10.0人(同8.3%増)といずれも増加しています。
産業別でみると、売上高は全11産業で増加し、経常利益は「不動産業、物品賃貸業(前年度比27.8%増)」「小売業(同25.3%増)」など9産業で増加。従業者数は「サービス業(他に分類されないもの)」が前年度比21.7%増、「運輸業、郵便業」が同16.0%増など9産業で増加しています。
◆設備投資を行った法人企業はわずかに減少、新規リース契約を行った法人企業は微増
設備投資を行った法人企業の割合は21.9%で、前年度差0.3ポイント減となっています。産業別にみると、減少しているのは「運輸業、郵便業(前年度差5.7ポイント減)」「卸売業(同2.6ポイント減)」など6産業でした。
一方、新規リース契約を行った法人企業の割合は12.5%(前年度差0.7ポイント増)で、産業別にみると、増加しているのは「建設業(同2.6ポイント増)」「生活関連サービス業、娯楽業(同1.7ポイント増)」など7産業でした。
◆中小企業の社長の就任経緯は「創業者」「親族内での承継」の割合が高い
中小企業の社長の就任経緯別構成比は、「創業者(47.6%)」「親族内での承継(41.4%)」が高くなっています。産業別にみると、「創業者」の割合は「学術研究、専門・技術サービス業(72.1%)」「情報通信業(68.5%)」などで高く、「親族内での承継」は、「製造業(58.1%)」「不動産業、物品賃貸業(56.0%)」などで高くなっています。 また、事業承継の意向は、「今はまだ事業承継について考えていない」が42.3%と最も高く、次いで「親族内承継を考えている(24.3%)」「現在の事業を継続するつもりはない(23.4%)」の順となっています。
【中小企業庁「令和5年中小企業実態基本調査(令和4年度決算実績)速報を取りまとめました」】
障害者雇用者数が初の100万人超え~厚生労働省調査
◆前回(平成30年)調査より25.6万人(30.1%)の増加
厚生労働省は、昨年6月に実施した「令和5年度障害者雇用実態調査」の結果を公表しました。この調査は、企業における障害者雇用の実態の把握と今後の障害者雇用施策の検討や立案に役立てることを目的に、5年ごとに実施しています。
従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数は110.7万人(以下、すべて推定値)で、前回(平成30年)の調査より25.6万人(30.1%)増加となり、初めて100万人を超えました。障害の種類別にみると、身体障害者は約52万6,000人(前回42万3,000人)、知的障害者は約27万5,000人(同18万9,000人)、精神障害者は約21万5,000人(同20万人)、発達障害者は約9万1,000人(同3万9,000人)となっています。
◆平均賃金、平均勤続年数も増加
職業別にみると、身体障害者と精神障害者は事務的職業が最も多く、知的障害者と発達障害者はサービスの職業が最も多くなっています。
平均賃金(令和5年5月)は、身体障害者は23万5,000円(前回は21万5,000円)、知的障害者は13万7,000円(同11万7,000円)、精神障害者は14万9,000円(同12万5,000円)、発達障害者は13万円(同12万7,000円)となっています。平均勤続年数は、身体障害者は12年2か月(同10年2か月)、知的障害者は9年1か月(同7年5か月)、精神障害者は5年3か月(同3年2か月)、発達障害者は5年1か月(同3年4か月)と、すべての障害種別で増加しています。
◆雇用にあたっての課題・配慮事項
障害者を雇用する際の課題として、「会社内に適当な仕事があるか」という項目が最も多くなっています。また、雇用している障害者への配慮事項として、「休暇を取得しやすくする、勤務中の休暇を認める等の休養への配慮」(身体障害者、発達障害者)、「能力が発揮できる仕事への配置」(知的障害者)、「短時間勤務等勤務時間の配慮」(精神障害者)と回答しています。
【厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」】
5月の税務と労務の手続[提出先・納付先]
10日
[公共職業安定所]
15日
31日
[公共職業安定所]