2016年06月16日
「改正確定拠出年金法」成立! 加入対象者が大幅に拡大
◆来年1月から施行へ
確定拠出年金法等の改正案が5月24日に成立しました。
これにより、来年1月から専業主婦を含めたすべての現役世代が実質的に加入できることとなり、新たに加入対象となる公務員や主婦らの取込みに向け、金融機関等の動きも活発化しています。
◆「個人型」の対象が大幅拡大
確定拠出年金には、会社単位で入る「企業型」と個人で入る「個人型」があります。
今回の改正により加入対象が広がるのは「個人型」です。これまでは自営業者や企業年金がない会社の社員らが対象でしたが、主婦や公務員が加わるほか、すでに企業年金に入っている会社員も併用して使えるようになります。
これにより、これまで約4,000万人に限られていた加入対象者は約6,700万人に拡大し、低所得で国民年金の保険料が免除される人たちを除いてすべての成人が加入できるようになります。
◆税制上のメリット
確定拠出年金では運用益が非課税となるほか、掛け金の全額が課税対象の所得から差し引かれるため、そのぶん所得税や住民税も安くなります。
今回の改正により、主婦と公務員だけでも最大400万人が個人型に入るとみられ、実際の加入者も現在の約500万人から約2倍に膨らむと言われています。
◆企業型の加入者に最大の恩恵
また、掛け金は多いほど有利になるので、今回の改正で最もメリットが大きいのは「すでに企業型を利用している人」と言われています。
所得税を納めていない主婦等の恩恵は運用益が非課税になるだけですが、企業型の加入者は個人型を上乗せして掛け金を増やせば、一段の節税効果も期待できるからです。
◆「自助努力」「リスク把握」も必要
一方、確定拠出年金は公的年金とは違い、加入の判断や運用する掛け金の額、運用商品を個人が判断し、運用次第で将来の年金額が変わります。運用成績が悪ければ受け取れる年金が掛け金の総額を下回るリスクもあり、加入者自身が知識をもって自助努力を行う必要があります。
また、運用資金に余裕がある人と運用資金を準備できない低所得者との年金格差が広がる可能性も指摘されており、今後の課題と言えます。
企業にとってのメリットは?「法人番号」の利活用
◆13桁の番号
株式会社や社団法人、協同組合等、設立の登記を行った法人や国の機関・地方公共団体などに、13桁の法人番号が指定される「法人番号制度」が平成28年1月よりスタートしています。
個人番号とは異なり、誰でも利用することが可能な法人番号について、先般、国税庁より番号の調べ方や売掛金管理での活用方法等を紹介するリーフレットが公表されました。
◆法人番号公表サイトとは?
「国税庁法人番号公表サイト」(http://www.houjin-bangou.nta.go.jp)では、「法人番号」「商号または名称」「所在地」などから、法人等の基本3情報(商号または名称・所在地・法人番号)を検索することができます。
◆法人番号の活用方法
(1)取引先情報等の入力補助による効率化
ダウンロードデータ等を活用することで、法人番号だけ入力すれば「法人番号公表サイト」で公表している「法人名」「本店所在地」の情報を自動的に補完入力する機能を追加することができます。これにより、誤入力等による問題が解消できるほか、入力作業の効率化にもなります。
(2)売掛金管理等、会計業務の効率化・自動化
法人番号付きで売掛金(売上台帳)の管理を行うと、法人番号をキーに取引先ごとの集計が容易になります。また、支店・出張所との取引であっても、本店と同一の法人番号であることから、取引先ごとの集計を確実に行うことができます。
◆国際的に利用可能な企業コードとしての法人番号
(1)電子商取引での活用例
各企業が、発番機関コードに法人番号を付加したものを共通の企業コードとして活用することで、各企業システム間のコード変換作業が不要となり、全体のコスト削減を実現することができます。
(2)電子タグの活用例
電子タグについては、出荷品や在庫などに、「カード型」「ラベル型」「ボタン型」「スティック型」など、様々な形状の電子タグを取り付けて無線で読み取ることで、在庫や場所を把握する技術が普及してきています。この電子タグに統一された企業コードを記録することで、物流の効率化や、電子タグの普及にもつながることが期待されています。
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